師走となり、今年も次第に押し詰まってきました。二十日前には真っ赤だった八重庵の紅葉もすっかり葉を落とし、積もった落ち葉を取り除くと、庭はすっきりした冬景色となりました。単調な色彩の中で、センリョウ・マンリョウ・ナンテンの赤い実が鮮やかに引き立っています。
朝晩は冷え込みますが、今のところは霜がびっしりというほどではありません。この、霜が降りないということは、八重庵の庭にとっては幸いです。どうしてかというと・・・
八重庵の庭に立つと、どうしても秋の紅葉や春の梅・花桃に目が行きがちなのですが、華やかな赤やピンクの陰には、それらをじっと支えている縁の下の力持ちがいます。それが、目に映る華やかさだけでなく、庭全体が経てきた長い年月も想像させてくれ、重厚感もプラスしてくれているのです。その力持ちのおかげで庭が成り立っていると言っても過言ではありません。
その力持ちとは・・・「苔」です。ただ大きな石があるだけでは無機質な感じがしてあまり感慨も湧いてきませんが、苔がびっしり生えているのを見ると、その石が経てきた長い時の流れが偲ばれ、、妙に親近感を覚えるから不思議なものです。
その苔も霜が降りると水分を取られてカチカチになり、見るからに冷たそうに見えます。
それでも、日の光を浴びて霜が解けると、また元の重厚感を演出してくれるのだからすごい生命力と言えます。植物の強さ・凄さを感じます。
雨が降っても風が吹いても霜が降りても、あらゆる困難にも負けず挫けず。そして出しゃばらず。ひっそりと永く長く主役を支え続ける縁の下の力持ち。
八重庵もそんな存在になれればいいなあ・・・と思う今日この頃です。
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